2012年5月31日木曜日

『「超」入門 失敗の本質』を読んで


 本書は20年ほど前に発刊された『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』の解説本です。内容が難しいとのことで読んだ人の多くが途中で挫折しているらしく、本書が登場したようです。

 大東亜戦争を通して日本がどのように負けていったか、アメリカがどう勝っていったか日本軍と米軍のプロセスを比較し、日本人の思考法と組織が抱える問題を明らかにしています。日本人の持つ思考法は戦後の現代でも変わらず、様々な組織が日本軍と同じ失敗をくり返す場合が多いことを指摘しています。

 階層的なピラミッド型組織では現場の実態がトップに伝わりにくく上層部は正しい判断ができない、といったことなど、確かに社会を見ていて思い当たる節があります。例えば、政府が行う対応というのは往々にして本質を捉えているとは思えない、何のためにやっているのか分からないと感じることが多いです。これも現場を正しく把握できていないことの現れなのかもしれません。

 『日本人が合理的な議論を放棄した事実は大いに反省すべき』(本文より)
結局、物事の本質を見抜く力、感情ではなく論理的な考え方が必要であることが分かります。しかし、これは日本の教育では扱っていない課題であり(少なくとも私の時代には)、私自身もこの点には心許ないです。

 著者は最後にこう結んでいます。
『「失敗の本質」という日本史上最悪の悲劇を分析した名著から学ぶべきは、今この時代に、私達日本人全員が冷静で合理的な視点を保持することの重要性です。』
現在も私達が抱えている問題は理解できましたが、それを実際どう解決していくかは大きな課題です。

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